2008年5月18日日曜日

公共事業をやめて強くなったゼネコン:NBonline(日経ビジネス オンライン)

「付加価値や提案力が生かしづらく価格競争に陥りがちな分野(公共事業)から撤退して、利益率を向上させた」という中堅ゼネコン「矢作建設工業」の紹介記事。
官公庁の公共工事や民間のマンション建設などの大規模工事案件は、通常は競争入札による発注形式が取られる。競争入札になると価格競争に陥りがちになり、受注できたとしても利益率の低いプロジェクトになってしまう。そのため、競争入札による受注ではなく特命で受注を受ける事が利益率向上につながる。
特命で受注を受けるためには、建設業者の設計力や提案力がものを言う。しかし、公共工事案件は官公庁と契約した別の設計業者がすでに設計を行っており、建設業者側には設計力・提案力を発揮する余地は無いらしい。
そこで、矢作建設工業がとった戦略は以下の通り。
  • 設計業務の人員増強による設計力強化
  • 設計力・提案力が生かせない公共事業から撤退し、民間事業や自前の不動産開発へのシフト
この戦略転換により、矢作建設工業の営業利益率は2004年の4.0%から2008年には5.2%に向上。鹿島建設や大林組などの大手ゼネコンの営業利益率が3%未満に低下しているのに比べると、好業績である。もちろん、公共事業から撤退した事による副作用として売上高が2004年の931億円から780億円まで低下したが、営業利益で考えると2004年の37億円から2008年には40億円に増加。高利益の健全な体質になっている。
我々IT業界の1企業でも矢作建設工業を見習うことはできないだろうか?おもしろいと思ったのは大手が必死で受注に走る公共事業から手を引いているところ。ただ、IT業界では必ずしも官公庁案件=利益率が低いというわけでは無いようだ(NTTデータは営業利益率10%。富士通は3%前後で苦悩してるが)。まだまだIT業界は成熟しておらず、差別化が図りやすい土壌だということだろうか?
もう一つ興味を引かれたのは、紹介記事に書いてある「川下」でのビジネス。これは施工後の建物に対して後付で耐震補強をするビジネスなのだが、これが好調らしい。システム開発で言うところの、運用フェーズでの周辺開発ってところか。保守・運用はうちの会社の強みであるし、周辺開発での実績もあるので、強化していくのが面白いかも。
公共事業をやめて強くなったゼネコン:NBonline(日経ビジネス オンライン)

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